改葬はお墓の引っ越しのことです。
自宅の近くに改葬すればお墓参りがしやすくなり、こまめにお墓掃除ができるなどのメリットがあります。
しかし、お墓の引っ越しは多方面に関わるため、すんなりと進まない場合もあるでしょう。
気をつけておかなければ、トラブルになってしまう可能性もあります。
そこで、この記事では改葬時に気をつけておきたいトラブルについて解説します。
また、トラブルが起きた際の対処法もあわせて紹介するので、参考にしてください。
トラブル①檀家を辞める際に高額な離檀料を請求される
檀家を辞める際に、住職から相場よりも高額な離檀料を請求されるケースです。
寺院墓地にお墓を建てている場合、改葬するにあたって檀家を辞めます。
檀家を辞める際は、これまでお世話になった感謝の気持ちとして、離檀料を渡すことが多いです。
地方の寺院では人口減少が進んでおり、檀家が減ってしまうと寺院墓地の維持管理が難しくなります。
住職は檀家を辞めてほしくないがために、高額な離檀料を請求して改葬させないようにしてくるのです。
高額な離檀料を請求されたときの対処法
離檀料はあくまでも慣習であって、法的に定められているものではありません。
離檀料はお布施の一種です。
お布施は感謝の気持ちを謝礼として包み、相手に渡します。
離檀料の相場は3万円~20万円といわれているので、あまりにも相場とかけ離れた金額を請求された場合は、支払わなくてもよいです。
しかし、これまでお世話になっていた寺院墓地なので、感謝の気持ちとして相場の範囲内の金額を渡してもよいのではないでしょうか。
トラブル②住職が改葬許可申請書に判を押してくれない
寺院墓地の住職に改葬する旨を伝えたところ、改葬許可申請書に判を押してくれないケースです。
改葬するには改葬許可申請書が必要です。
改葬許可申請書がないと手続きができず、困ってしまいます。
前述したように、檀家を辞められると収入減が減ってしまうため、経営が厳しくなってしまうのです。
住職が改葬許可申請書に判を押してくれない場合の対処法
『墓地、埋葬等に関する法律施行規則』の第2条第2項によると、
” 2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
墓地又は納骨堂(以下「墓地等」という。)の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵
又は収蔵の事実を証する書面 “
とあります。
しかし、続く文では
” (これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面) “
と記載されています。
出典:墓地、埋葬等に関する法律施行規則
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/4688.pdf
つまり、住職が改葬許可申請書を発行してくれなくても、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面を用意すれば、改葬は認められるということです。
例としては戸籍謄本などが該当します。
トラブル③親族が改葬に同意してくれない
改葬する旨を親族に伝えたところ、納得がいかずに反対されるケースです。
先祖代々受け継いできたお墓は、心のよりどころでもあります。
ご先祖様と会話できる場所であったのに、急になくなってしまうと戸惑ってしまう方もいるでしょう。
また、改葬先が一般墓でなく、合祀墓のように今のお墓の形と異なる場合も、同意を得られない場合があります。
お墓といえば墓石が建てられた一般墓、というイメージを持っている方も少なくありません。
合祀墓や納骨堂、樹木葬などはお墓とみなしていないのです。
親族が改葬に同意してくれない場合の対処法
大切なのは時間をかけた話し合いです。
いきなり「お墓の引っ越しをすることに決めた」と言われると、心の準備ができずに反対する方もいるでしょう。
まずは相談という形で提案してみて、少しずつ納得してもらいましょう。
また、お墓の種類が変わるため納得できない場合も同様です。
たとえば樹木葬なら、
・自然が多い場所で眠れる
・四季の変化が楽しめる
など、メリットを交えて話してください。
ちなみに、改葬するにあたって、親族の同意は必要ありません。
しかし、これからの付き合いもあるため、円満解決できた方がのちのちのことも考えるとよいでしょう。
トラブル④墓じまいの工事費用が相場よりも高かった
墓じまいにかかった工事費用が、相場の価格よりも高かったケースです。
墓石の撤去にかかる費用は1㎡あたり10万円といわれています。
「だいたいこれくらいだろう」と考えていた金額よりも多く請求されると、「なんでこんなに高いんだ。騙されているのか」と感じてしまうのです。
墓じまいの工事費用が相場よりも高かった場合の対処法
工事を依頼する前に、ほかの石材店にも見積もりを取りましょう。
ひとつの石材店しか見積もりを取っていないと、どれくらいの工事費用がかかるのかわかりません。
相見積もりをとることで、工事費用の比較ができます。
相見積もりをとった複数の石材店の中から、納得できるところに工事依頼をかけてください。
ただし、石材店が指定されている場合は、ほかの業者で工事はできないため、相見積もりは不要です。
まとめ
改葬時におけるトラブルを4つ紹介しました。
どのようなトラブルが起こるのかが分かっていれば、実際に自分が遭遇したときに対処しやすくなります。
もし不運にもトラブルに合ってしまったら、自分ひとりで考え込まずに、信頼できる家族や専門家などに相談してください。
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